ハートビート

ハートビート
最近のお気に入り、シャロン・クリーチの本です。「散文詩」という手法で進んでいくものがたり。一文一文が短くて、ぱらぱらっと開いてみると一見「詩集?」と思うのだけれど、それがひとつの物語としてつながって行きます。すごく新鮮でした。こういうの、若いときに読みたかったな、と思う児童文学。走ることと絵を描くのが好きな12歳の主人公のアニー。彼女が走っている絵が左隅に描かれていて、パラパラ漫画みたいに走る仕掛けが付いているのも楽しい。アニーの独り言のような言葉で綴られる日常。自分の好きなこととどんな風に向き合うか。(走ること)こつこつ継続して行った先に見える大切なこと。(絵を描くこと)言葉を学ぶことの楽しさ。(脚注・同義語)誕生する命(ママの出産)と老いて行く命(忘れっぽくなっていくおじいちゃん)。大切なともだち(マックス)。周りの変化に戸惑いながら自分をしっかり見つめるアニーから、たくさんのメッセージを読み取ることができます。ちょっとした人生の縮図みたい。清々しい、そしてなかなか深いのです・・・。表紙はリンゴの絵、背表紙は一粒のリンゴの種の絵。その意味は読めばわかります。