四年前の真実

今から四年前、娘が小学2年生の夏です。我家で今も語り継がれている「クワガタ事件」が起きました。ある日、いつものように官舎の敷地内で遊ぶ娘と大の仲良しのチエちゃんが「クワガタがいた!飼いたいから箱ちょうだい!」と戻ってきました。私は何の疑いもなく空き箱に空気穴を開けて、二人に渡してあげました。嬉しそうにそれを持って再び外へ出る二人。しばらくすると、隣の棟に住む男の子のお母さんが、娘とチエちゃんを連れてすごい形相でやってきました。「二人がうちで飼っているクワガタを取った」と言うのです。二人は何が起きたのかわからない様子。私もチエちゃんのママも縮み上がりました。でも状況がつかめなかったので「すみません、子供の話を聞きたいのでちょっと待っていただけますか?」といったものの聞く耳を持たずにものすごい憤慨振り。子供に話を聞いても「取っていない」とちっとも要領を得ない。いくら無邪気で二人寄ればやんちゃをするふたりでも、よその家の虫かごからクワガタを取ったりするかな〜?と不思議に思いつつも、状況を正確に証明できる年齢でもない。仕方なく、ちょっと嫌味もこめて大袈裟に折り菓子を持って、夫と共にお詫びに行って許してもらいましたが、事件の真相は明らかになりませんでした。その後も当のふたりはちっとも反省の色を見せないまま、父親の転勤で離れ離れになりました。
この事件のことはその後、ことあるごとに話題にのぼっていたのですが、夕べ、6年生になった娘が急にポツリと言うのです。
「クワガタは廊下を歩いてたんだよ。」
「・・・・・・!!!」
真相はこうです。廊下に面した窓際においてあった虫かごからクワガタが脱走し、廊下を歩いていたところを、楽しいこと探しの旅に出ていた二人に発見され、確保されたってわけです。二人が目をキラキラさせて、クワガタ君の住まいを着々と整えている間に、あちらでは「クワガタがいない!」と騒ぎになって、たまたま二人を目撃した他のお母さんによって疑いが掛けられ・・・・あーあ。よってたかって、とんだ濡れ衣だったね・・・・。四年もかかっちゃったけど、なんだかすっきりして、「な〜〜んだ〜!」と大笑いしました。物言わぬ子供をむやみに疑うべからず!!チエちゃん元気にしてるかなあ?