奇跡のりんご

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録話題になってから随分経ちましたが、やっと手に取ることになりました。実は、はじめは取り立てて読みたい本ではなかったのですが、これがなかなか、予想を上回る奥深さに、すっかり引き込まれ、一気読みでした。この笑顔でお馴染みの木村さん。今更ですが、すごい人です!石の上にも3年というけれど、彼はその何倍も辛抱した人。とかく早く結果を出すことが求められる時代だけど、遠回りしないとわからないこと、辿り着けない境地はたくさんあるのだな、と思いました。それを影で支えた家族がまた実に素晴らしい!でも、彼が追い詰められて、全てを諦めてしまいそうになったところは、号泣でした。これは、ただのサクセスストーリーではなく、彼の思想、哲学、農業の歴史、りんごの歴史、自然界の大切な命の連鎖、家族や夫婦、彼を取り巻く人と人との暖かい繋がり、そして自然と人間との関係性、更には宇宙までと、ものすごくテーマに広がりがあって、でもそれは根本で繋がっているのだと思わせる内容でした。農業とは縁のない私にも、大変興味深かったです。こういう風に農業に命がけで向き合っている人がいて、もっと上手に人と自然が調和する世の中に少しずつ移行して行ったら・・・という地球と人類の希望にも繋がる、大きなテーマ。そして、諦めない心で何かを成し遂げるってこういうこと。子供にも是非読んでもらいたい本です。この本はライターさんの取材によって書かれた本ですが、木村さん本人が書いている「すべては宇宙の采配」という本も是非読んでみようと思います。かなり余韻に浸って熱くなってしまいました。
この本を読んだ後、スーパーのりんごたちを見て、「農薬にまみれて育ったんだなあ・・・この子達」と思わずにはいられませんでした。食べることはやめられないけどね・・・木村さんの美味しいりんご、食べたいな♪