人生の経験値

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)ここんとこ、私の中でひそかにブームなのが、この穂村弘さんという歌人さん。彼の書くエッセイがすごくツボなんです。これ以外にも「にょっ記」とか「ほんとうは違うんだ日記」とか、変なタイトルばかり。どれを読んでも挙動不審の妄想ダメダメ男(本人)のシュールな話ばかりなのに、実際の彼は歌人(歌も面白い)として活躍する傍ら、絵本を翻訳したり、雑誌の連載を持ったり、更には会社員なのです。(一般企業の総務課長という立派な肩書きも持っている。)この意外性も私を惹きつけます。そしてこのダメダメでバカバカしい感じがなんとも不思議な安心感を与えてくれます。年も同じくらいなので世代的に共感できる部分もあり。但し時々妄想が過ぎる傾向もあり、理解不能なときも・・・。そこがまたミステリアス。この「現実入門」では自称「人生の経験値の低い」穂村さんが、いろんなことを初体験して、それをリポートしています。例えば「献血」とか「コンパ」とか「占い」とか別に経験しなくてもいいものから「競馬」とか「大相撲のマス席」とか「はとバス」などなど・・・私、献血とコンパはしたことあるけど、経験してないものも結構たくさんあって「同じく経験値、低い人間だよワタシ・・・・」とふと我に返りました。本には出てこなかったけど「歌舞伎」とか「海外旅行」とか「ホストクラブ」とか「アカスリ」とか「正社員」もしたことないし「お座敷でしゃぶしゃぶ」とか「ジンギスカン」とか「タイ料理」とか・・・・出てくる出てくる。未経験キーワードが次々に頭をよぎり、軽く動揺した私。